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土壇場ネタ帳。 一次も有れば二次も有。
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死にネタ、台詞無し、語り部調の物語。

多分一般人が見れば友情物。
……見る人が見れば……腐ってる?



ある所に蒼い瞳の男がいた。
男には一人だけ親友と呼べる者がいて、とても仲が良かった。
男と親友は共にに行動し、共に歳月を重ねた。
いつまでも支えあい、親友でいようと手を繋いでいた。


だがある日、親友は病に犯された。
親友の病は日に日に酷くなり、何人もの医者が親友を診たが、皆匙を投げた。
医者達は「治す為には『ソラ』と呼べる物が必要」だと言った。

男は親友の為に『ソラ』を探しに出かけた。
『ソラ』が如何なる物かも分からない。
それでも男は衰弱する親友をただ見ているだけなどできず、家を出た。
我が身を省みず、ただ親友を助けたいが為に。


山を越え、海を渡り、男は世界を廻る。

ある村では『ソラ』と言う名の薬草があった。
しかし『ソラ』は親友の病を治す効力を持ってはいなかった。

ある街では『ソラ』と言う名の魚がいた。
しかし『ソラ』は猛毒の魚だった。病を治せはしない。

ある国では『ソラ』と言う名の装置があった。
しかし『ソラ』は機械を治す事は出来ても人を治す事は出来なかった。


そして、男はとある集落に辿り着いた。
その集落には『ソラ』と言う名の物は無かったが、『万病を治す薬』があった。
ただし、その薬は「蒼い瞳」が必要だった。

得体の知れない『ソラ』を探す事に疲れた男は自らの瞳を差し出した。
『ソラ』が無くてもいい。我が身がどうなってもいい。
ただ親友の病が治ればそれでよかった。

瞳をなくした事で、男の見る世界からは光が失われた。
それでも男は病を治す青い薬を手に親友の元へとひた走った。
もう一度、親友の元気な姿を見たいが為に。


親友は昔と変わった姿で家にいた。
頬は痩せこけ、四肢は骨と皮と少しの肉だけになっていた。
いつも繋いでいた親友の手は握り締めれば砕けそうなほどになっていた。


遅かったのだ、と気付いたのは親友に薬を与えた後だった。


確かに親友の病は薬によって治す事が出来た。
だが、もとの状態まで立て直す体力が親友には残されていなかった。
死への道程がほんの少し延びただけの親友に、男は絶望した。


そして男は親友の為に我が身を差し出した。
自らの命を代償に、親友を救った。



親友は風の噂を聞く。
ある世界では『ソラ』とはいつも青く晴れ渡っているものだという。

親友は青い物を思い浮かべた。
男が持って来た青い薬でも、青い花でも、今自分の頭上にあるものでもない。

思い浮かべたのはたった一つ。
最愛の親友が持っていたはずの蒼い瞳。


男こそが、親友にとっての『ソラ』だった。



空から零れる涙は無数。
今は亡き親友を想い、悲哀に満ちた声が響く。

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プロフィール
HN:
鴉羽 らいと
性別:
非公開
自己紹介:
絵も描ける物書きになりたいともがいてる奴。
仕事もそっちのけで日々創作。

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土壇場作成故、話の流れ、繋がりなど全く持って皆無です。
誤字脱字多いかと思われますが広い心でスルーしてやって下さい。
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